中岡まゆのおばあちゃん

 

おばあちゃんが入院して2ヶ月程経っただろうか。

先日、ついに看護師さんより「そろそろご親戚を呼んだほうがいいかもしれません」と言われてしまった。

 

あ〜、もうすぐおばあちゃん死んじゃうのかぁ

 

薄々わかってたことだけど、いざ目の前に押し迫ると心臓がギュッとなる。

 

おばあちゃんが生きているうちに、おばあちゃんを忘れないうちに、大好きなおばあちゃんの大好きなところを書き出してみようと思う。

 

 

 

 

 

おばあちゃんはちょっぴりクレイジーな人だった。

 

泊まりに行くといつも「晩御飯は何がいい?」と聞かれ、わたしはいつも「なんでもいいよ」と答えていた。

 

すると毎回「なんでもあるよ〜」と言われるので「じゃあ◯◯がいい!」と答えると「ほんならちょっと行ってくるわ」と買い物に出かけるような人だった。

 

「何にもないってこと そりゃあなんでもアリってこと」?    ROCKET DIVEが過ぎるよ、おばあちゃん。

 

買い物に行くと一度決めたらもう止めても無駄なので、私もついてよく2人で買い物に行った。

 

わざわざ買い物に出かけさせるのは申し訳ないけど、何か答えなければ延々「なんでもあるよ〜」と言われるので、中学ぐらいからは「冷蔵庫にありそうなものを答える」というゲームとしてその質問を楽しんでいた。

 

お米だけあれば作れる「おかゆ」と答えるチート技も発見した。

 

おばあちゃんの作るおかゆは鰹節から取ったダシと昆布から取ったダシ、しいたけから取ったダシをベースに、さらにほんだしを入れるというクレイジー粥だった。

ひたすら濃い。何かわからないけど濃い。そして、異常な中毒性がある。

 

雪の降り積もる山間部出身だからだろうか、おばあちゃんはたまにこういう塩分過多料理を作る。

 

でも、私はそのクレイジー粥が未だに一番の大好物だ。

もうあのおかゆが食べられないと思うと、ちょっぴり寂しく思う。

 

 

 

別の日の朝、泊まりに行っていた私が「ホットケーキ食べたい!」と言ったら、おばあちゃんは家にあったお好み焼き粉でホットケーキを作ってくれた。

 

お好み焼き粉を扱ったことのない小学生の私は一瞬(できるのか?)と思ったが、私より何十年も長く生きているおばあちゃんが作れると言っているので大丈夫だろうと思い直し、出来上がりを待った。

 

待っている間、完全にお好み焼きを焼いている匂いが漂っていたが、気のせいだと思うことにした。

 

 

出来上がって、一口食べた。

あまり想像できないと思うけれど、お好み焼き粉で作られたホットケーキはシンプルにまずい。

ダシや醤油、鰹節の香りのする"あの"お好み焼きに砂糖をたっぷり入れたものを想像してほしい。その味なのだ。

 

苦い顔をする私におばあちゃんが「ダメだった?」と心配そうに声をかける。

「大丈夫!食べられないことは無いよ!!!」と言って、無理して何口か食べた。

 

超絶怒涛におばあちゃん子の私にとって、おばあちゃんが作ったものを「まずい」と言ったり残したりすることは絶対悪だったのだ。

 

水で流し込みながらお好み焼きホットケーキを食べていると、隣で同じものを食べ始めたおばあちゃんが「あ〜!!!こりゃ食えんわ!!!」と大笑いしてゴミ箱に一瞬で捨てた。私も色々と我慢していた分、めちゃくちゃに笑った。

 

それ以来食品棚にはホットケーキミックスがストックされるようになり、私もあまりにまずいものは「これは…もしかして……おいしくはない、の…かも… 。わかんないけど……多分………。」と言えるようになった。

 

 

 

 

またとある別の日

はがき1枚の配送料がまだ50円だった頃だ。

 

会社を営んでいたおばあちゃんは、はがきを出す機会が多くあった。

学校帰りに会社の事務所でよく宿題をしていた私はおばあちゃんのこんな声を聞いた。

 

「あ、しまった、切手がない

 まぁこうしときゃええか」

 

気になっておばあちゃんのところに行ってみると、切手を貼るべき"あの枠"にセロテープで50円玉を貼っていた。

 

切手がないときはいつもそうしていていたらしい。 

確かに、切手も50円だし、お金も50円だ。

同じ値段だからそれで送れるのか!おばあちゃんは物知りだなぁ!!スゴイ!!!と本気で思った。

 

その後もはがきに50円玉を貼り付けているおばあちゃんを何度も見かけた。

私は完全に「はがきとはそういうもの」だと信じて育った。

 

 

間違いに気付いたのは20歳を過ぎた頃だ。

当時ははがきの配送料が52円だったので、50円玉1枚と1円玉を2枚貼れば届くのかな?と思い「はがき お金を貼る」で検索し、ようやく間違いに気付いたのだ。

あの時調べなければ、多分今も勘違いして育っていただろう。

 

というかおそらくこんなのは氷山の一角で、自分の中のこういう「おばあちゃんに教えてもらって、常識だと思い込んでるけど実は・・」みたいなエピソードはまだあるんだろうな。

今後は何が出てくるんだろうか。これからの人生が楽しみ。つくづく、面白いおばあちゃんで良かった!!!

 

 

 

 

 

 

その他、おにぎりを延々と食べさせられる「わんこおにぎり」の話や「掛け布団を10枚掛けられ圧死しかける事件」などクレイジーエピソードはたくさんあるが、今日のところはこれくらいにして、寝ているおばあちゃんにたくさん話しかける時間に戻ろうと思う。

 

 

 

 

 しんみりした内容なので、おばあちゃんとのSNOWを貼って明るく終わります。

 

 なにやられてるんだかわかってないところがカワイイね

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みんなもおばあちゃん大事にしろよな!!!!!

 

 

 

 

おばあちゃんの病室にて。

 

 

中岡まゆ